知っているようで知らないコープの基礎知識

近所にユーコープのお店があるけれど、普通のスーパーと何が違うの?普段からおうちCO-OPを利用しているけれど、コープっていくつもあるの?そんなあなたの疑問にひとつずつお答えします。

そもそも「生協」ってなあに?

生活協同組合(生協)は、より良いくらしのために消費者一人ひとりが「出資金」を持ち寄り、事業や活動を行っている消費者団体です。一般に「生協」または「CO・OP(コープ)」と呼ばれますが、CO・OPとは<英語名>「CO・OPERATIVE SOCIETY」の頭の部分をとったものです。

「生協」の始まり

18世紀半ばから19世紀のイギリスでは、産業革命により生産が増大したものの、物価が上昇し、国民は苦しい生活を強いられていました。1844年、イギリスのマンチェスター郊外にあるロッチデールという小さな町で、28人の自営業者や織物職人が「ロッチデール公正開拓者組合」を立ち上げました。
「自分たちのくらしを守りたい」「混ぜ物がなく、量目のごまかしもない品物を手に入れたい」という思いで、苦しい生活の中から毎週2ペンスずつ、1年をかけて一人1ポンドのお金を積み立て、小さなお店を始めたのです。初めて店頭に並べた食品は、良質のバター・砂糖・小麦・オートミールの4種類だけでした。これが生協の歴史の始まりといわれています。

生活協同組合の「協同」ってどういう意味?

「協同」とは、同じ目的のためにみんなで協力して物事を行うことです。あることをかなえたいとき、発生した問題を解決したいとき、一人では難しくても周囲の人たちと力を合わせれば、実現に向けて進むことができます。消費者が自分たちのくらしをよりよくしていくために協同し、助け合う団体が「生活“協同”組合」です。イラストは、2頭のロバが協力し、助け合うことにより、自らの願いを実現する「協同」の意味を表しています。

「ユーコープ」と他の生協は同じ団体?

それぞれ独立した別の団体です。ユーコープのように地域に根ざす「地域生協」のほか、大学の中にある「大学生協」、地域住民と医療・福祉の専門家でつくる「医療生協」や「福祉生協」など、いろいろな生協があります。また同じ地域に複数の「生協」が存在することもあります。

1つの地域に生協が複数あるのはどうして?

「ユーコープと○×コープって一緒なの?」
「コープってどれも一緒じゃないの?」
と、よく聞かれます。実は生協(コープ)は1つではなくて、法律に沿って作れば誰でも生協を設立することができます。
商品の品ぞろえや、安全・安心の考え方などは生協によって違います。だから同じ地域に複数の生協があるんですね。生協の作り方は生協法という法律に書いてあります。

  1. 1.20人以上の発起人を集めます。
  2. 2.設立趣意書・事業計画など必要書類を作成します。
  3. 3.生協設立の賛成者(組合員)を300人以上集めます。
  4. 4.集まったら創立総会を開いて設立を決めます。
  5. 5.行政(県知事など)から認可を受けます。

これで晴れて新生協のスタートです。
ユーコープの前身の一つである「横浜生協」が1947年(昭和22年)につくられたときには、組合員が11,893人だったとの記録が残っています。

  • 生協法…正式には消費生活協同組合法といいます。
    法律にはもっと詳しく書いてありますので、興味のある方は調べてみてください。詳しくはこちら

「生協」と「株式会社」どう違う?

「株式会社」の場合は、出資するのは株主です。しかし、株主が必ずしも利用者というわけではありません。株主は、株価の値上がりや値下がりで儲け、会社の利潤を配当金として受け取ります。そして、たくさんの株を所有している「大株主」の意見が会社の経営に影響を与えます。
一方「生協」の場合、出資するのは組合員です。消費者が出資して組合員になることで、生協の商品やサービスを利用できます。剰余金があれば、組合員に配当を行う場合がありますが、配当額には上限を設けています。そして、出資金の額に関係なく、組合員一人ひとりが平等に意見を言う権利があります。組合員から出された意見や要望は生協の運営に反映しています。生協は非営利団体で、消費者のくらしをより良くすることを目的に運営されています。

生協は組合員が運営に参加します

生協は、消費者がお金を出し合い、自分たちのくらしをいっそう良くするために事業・活動を行う非営利の消費者団体です。「出資」して組合員になることで、商品やサービスを「利用」できます。また生協の「運営」にも参加できます。「運営」と聞くと難しいと感じるかもしれませんが、お店や宅配などを利用して「こうなったらいいのにな」と思ったことをユーコープに伝えるのも運営参加の一つです。皆さんからいただいたご意見やご要望は、生協の運営や商品作りに生かされます。
このページをご覧の皆さんも、ご意見がありましたら、ぜひおうちCO-OPの担当者・店舗サービスカウンターなどにお伝えください。
「もっとユーコープの運営に関わりたい」という方は、組合員の代表である「総代」になり、ユーコープの方針決定に参加することもできます。総代の任期は1年間。総代立候補は6月の通常総代会後に受け付けを予定しています。

組合員にならないと生協を利用できないのはなぜ?

生協は組合員になってから利用します。
日本の法律で生協の目的は「組合員に対して奉仕をする事業を行うこと」とされているため、その生協に加入していない人の利用は員外利用といい、禁止されています。イギリスのように法律で規定がない国や、ドイツのように生協の定款(ルール)で定めていれば員外利用が可能な国もあり、国際的には員外利用禁止が一般的というわけではないようです。員外利用の禁止は、一般消費者からは不便に思いますが、生協に加入し組合員としての自覚をもって利用することで、生協の事業を発展させた側面もあります。
日本の法律でも員外利用が許可されるケースもあります。
例えば、災害発生時の緊急物資提供です。東日本大震災では全国の生協が被災地支援活動に取り組みました。ほかにも、酒やたばこは組合員以外の利用が可能です。また医療事業・福祉事業も利用高の制限はありますが員外利用が可能です。宅配事業では、加入前のお試し利用が条件付で認められています。

生協の基本ルール「定款」

「定款(ていかん)」は、あまり聞き慣れない言葉ですが、生協にとって最も大切なルールをまとめたものです。
ユーコープの「定款」をひもといてみると、生協の名称・所在地から始まり、加入の方法などが書いてあります。読み進めると、取り扱う事業の品目も書いてあります。米、食料品、雑貨、衣料品、酒類、化粧品、カメラ、はきもの類…組合員の日常生活に必要な物資を供給する事業とあります。
そのほか、理事・監事などの役員や、ユーコープの方針を決める総代会についても細かく書かれています。
「定款」は生協だけでなく、会社や社団法人などを設立する時は、必ず作らないといけません。NHKや、日本銀行にも定款があります。
「定款」は、総代会で出席総代の3分の2の賛成がないと変えられません。簡単には変えられない生協の大事な「きまり」です。

出資金の使い道

皆さんからお預かりしている出資金は、ユーコープを安定して支える大切な元手です。
店舗・宅配センター・物流センターを建設したり、組合員の皆さんに気持ち良くお買い物していただけるように古い店舗のリニューアルにも出資金を使います。配送トラックの確保や、商品開発・商品の仕入れにも出資金を使います。
そのため、出資金は「現金」や「貯金」という形ではなく、例えば生協という体を流れる血液のように、姿を変えて体中を巡り働き続けています。
私たちの体も、急に血液が減ってしまうと大変なことになるように、生協も出資金が急に減ってしまうと困ってしまいます。そのため、出資金を引き出す手続き=「減資」は、1年に1回12月20日までに手続きしていただくようにお願いしています。
生協の運営のために、出資金は欠かせないものです。出資金はいつでも増資ができますので、ぜひご協力ください。

コープ商品の第1号は?

コープ商品はコープで販売するプライベートブランド(自主企画)商品です。
コープ商品は、日本生協連のものだけでも、現在約4,000品目になります。各生協が独自に企画販売している商品もあります。
このコープ商品のルーツは、1960(昭和35)年の「CO・OP生協バター」です。当時は、メーカーの決めた価格より安く売ると、メーカーが出荷をしてくれなくなることがあり、バターもそうした状況になっていました。
そこで安くて品質の良いバターを提供するため、生協とつながりの深かった酪農組合と協力して開発されたのが「CO・OP生協バター」でした。
現在もこの考えは受け継がれ、「おいしさ」「健康」「便利・使いやすい」「楽しい・心地よい」「環境への配慮」「食と食料への配慮」「人・社会への配慮」を大切にしながらコープ商品が、開発・提供されています。

生協と政治の関係は?

生協は、誰でも組合員になることができます。そのため多様な考え方を持った人たちが組合員になっています。そうした「開かれた組織」だからこそ、生協は多様な意見・考え方を尊重した運営をする必要があります。
消費生活協同組合法第2条第2項で、「消費生活協同組合はこれを特定の政党のために利用してはならない」と規定され、生協として特定の政党や候補者を支援することはありません。
しかし、組合員のくらしを向上させていくためには、生協として国や県・市町村などに意見を表明することが必要な場合があります。生協では多くの組合員が賛同できる課題、例えば核兵器廃絶などについては、積極的に政治に働きかけています。