1.善い循環をつくる

私たちは設立以来、組合員のくらしをよく知り、組合員の声を聴き、その声に応えていくことを大切にしてきました。自分と仲間に関心を持ち、助けあい協力できる組織は、素直に実践に学び、変化の芽を育てることができます。「今までこうだったから」にとらわれず、一人ひとりの自由な発想を大切にして、組合員や仲間のために、その時に一番よいと思ったことを、失敗を恐れず実行していきます。そのためにとられた行動は、うまくいかなくても決して責めません。継続した工夫と改善は組合員に喜ばれ、仕事のやりがいにつながり、再び多くの実践が生まれます。善い循環は一人ひとりを幸せにし、善い循環はいい組織をつくります。

一人ひとり、一つ一つの経営基本方針に基づく実践が、組合員に気持ちよく利用され楽しく参加できる事業と活動をつくります。そして、結果としてユーコープを信頼し、好きになってくださる組合員が増え、利用が増える循環を生み出します。そこから得られる剰余はお店の改装や新たなサービスの提供など、事業の再生産と組合員の利用しやすさの向上など、善い循環を生み出します。

新型コロナウイルス感染症は第5類に移行され、コロナ禍前の賑わいに戻りつつあります。地域でのさまざまな活動が再開され、ユーコープにおいても組合員が集まる機会が増え、リアルとオンラインによる組合員と組合員、組合員と職員の接点が増えています。また、生協と地域社会のつながりが増えている事例も数多く生まれています。コロナ禍で減ってしまった顔と顔の見える関係を大切にし、改めて地域での組合員活動をよく知り、ともに参加することで組合員とのつながりをより深め広げることや、地域社会とのつながりを大切にする取り組みを実践していきます。宅配やお店などの利用の場、さまざまな活動の場、地域のつながりの場の中で組合員の声を聴き、くらしを知り、組合員の期待に事業と活動の場で応えていきます。

2.生協の原点に返る

生協は組合員が出資金を出し合って、自分たちのくらしの向上のためにつくった組織です。過去、組合員の期待に応えた時に大きく成長をしてきました。

現在の困難な局面は私たちの事業と仕事の仕方が組合員のくらしからの願いに寄り添っていないと受け止めなければいけません。生協のために(数値をつくる対象として)組合員がいるのではなく、組合員のくらしの向上のために生協があるのです。

私たちに求められているのは、組合員一人ひとりの生協に対する期待、要望がどこにあるのかを知り、「私たちの買い場(紙面)や仕事の仕方がそれに応えられるようになっているか?」「その商品が組合員のくらしにどのように役に立てるかを考え、その商品をご利用いただくきっかけを作れているか?」「少しずつでもその方向に向かっているか?」そのことにそれぞれの立場で全力を尽くすことです。組合員にとっては買い物をし、そしてくらしを営むということを通じて、少しでも(本人と)家族の幸せが実感できるということが一番ではないでしょうか。そのために、生協が他のスーパーにない、「生協はやっぱり信頼できる」「生協は私の店」「生協で買い物するとほっとする」と思っていただくことに私たちは全力を尽くさなければいけません。「元気で気持ちのよい応対(できれば名前で呼びあえる)」「鮮度のよさ」「使い勝手のよい適量の規格」「料理方法や保存方法の知恵が詰まったPOP」「レシピや調理見本」「クリンリネス」「できたてのものがあり、品切れのない買い場」「商品を使った感想など、組合員の知恵の詰まった買い場」。このようなことを実現していく積み重ねの中で、「ユーコープは変わった」と実感していただき、もう一度近所の方にユーコープをすすめてもらえるのではないでしょうか。

もう一度、生協の原点をみんなで考え、行動に移す必要があります。まず、働いているみんなが組合員として利用し、自分の言葉でお伝えできることから出発しましょう。

3.働くということ

私たちはみんないい仕事をしたいと思っています。自分の役割が職場の中ではっきりし、かけがえのない存在として認められていること。組合員や仲間のために、困ったときは一緒に考え、力を寄せ合い、みんなで協力し合い、助け合うこと。私たちは働くということを通じ、感動と喜びを感じ、人間として成長したことを実感できます。毎日は忙しく、あっという間に過ぎてしまいます。毎日の仕事の中で仮説―実行―検証を繰り返し、少しずつの意識的な努力の積み重ねが1年たてば大きな違いを生み出します。配達でも、青果の発注でも、レジでもどんな仕事でも同じです。組合員に少しでも喜んでいただき、自分自身で目標を決め、改善を続けていく、そのプロセスの先に結果がついてきます。生活協同組合ユーコープで働くすべての人が能力を120%出し切って、充実感に満ちあふれた、キラリと輝く仕事をする。業態の壁を越えて助け合い、まずやってみること。組合員にとってユーコープは一つです。そして、組合員に喜ばれる、組合員の満足度が高まる、ということと同等に、働く一人ひとりが大切にされ、みんながユーコープで働けてよかったと実感できる、そんな組織をつくっていきたいのです。

4.役割を果たすということ

  1. 1.トップはいつも先頭に立って働きやすい環境をつくるとともに、率先実行します。
    それとともに現場では手のつけられない困りごとを解決するために全力を尽くします。
  2. 2.部下を持つ人は、一人ひとりをかけがえのない存在として、その人のいい点に光を当てます。方針に基づきチャレンジし、うまくいかなくても決して責めません。上司の仕事は部下が笑顔で元気に仕事ができることだと肝に銘じて仕事をします。そして、部下と一緒に考えることや理由や背景をしっかりと伝えることなど、部下とのコミュニケーションを惜しみません。また、それぞれの職場で目標(状態・数値)を共有化した上で、一人ひとりが自分事として主体的に仕事をします。上司は任せる、見守る、助言することを大切にします。
  3. 3.本部に働く人は、実際に組合員と接している職員・パート職員そして組合員と接する場を通じてしか、どんな素晴らしい仮説も実現することはできません。事実はそこにしかなく、組合員と接する場(現場)=組合員という視点が何よりも大切です。本部に働く人は、職員・パート職員の皆さんの仕事をしやすくバックアップしていくことが自分の仕事だと思って仕事をします。
  4. 4.働くすべての人が、組合員のくらしに貢献するという視点で、一人ひとり目標を持ち改善を進めることで、仕事の精度を高めること、法令や内部ルールを理解し遵守することで、利用された組合員の満足度を高め、幸せなくらしに貢献します。
  5. 5.組合員に商品の使い方を教えていただくことからくらしを知ります。商品の使い方をほかの組合員や仲間に伝えることで、組合員の知恵が広がり、組合員のお役立ちにつなげます。
  6. 6.一人ひとりの「できること」を広げること(マルチスキル化)で、組合員に喜ばれる商品とサービスを提供すること、すべての人が安心して働けること、生産性を高めユーコープの経営をよくすることにつなげます。

5.経営基本方針で私たちが大切にしたいもの

  1. 1.感度と想像力をあげる
    相手に関心を持つ、相手を知る コミュニケーションを深める
    【そのための具体的な行動】
    組合員、職員・パート職員に挨拶し、お名前を覚え、声をかける
  2. 2.個人の実践、認め合う、一人ひとりに関心を持つ
    個々の実践を尊重し、互いに認め合い、互いの仕事に感謝する
    【そのための具体的な行動】
    「ありがとう」のあふれる職場づくり
  3. 3.助け合い協力し合う、仲間を思いやる、チームユーコープ、オールユーコープ
    組織内での人と人の関係を深める 他部署を学ぶ
    オールユーコープの取り組みが組合員の利用しやすさや、新たな価値の提供につながる
    【そのための具体的な行動】
    働く仲間と仲良くなる 顔と顔をあわせ、仲間になる
  4. 4.地域の中のユーコープ
    地域から信頼される、地域の一員としてのユーコープ
    【そのための具体的な行動】
    地域の中で日常的に挨拶する 地域の取り組みに参加する
  5. 5.チャレンジ!!
    組合員に喜んでもらえる、仲間に喜んでもらえる
    【そのための具体的な行動】
    まずはやってみる、思ったことをやってみる、できるところからやってみる

6.経営基本方針を支えるキーワード

  1. 1.経営基本方針と実践事例と事業計画
    経営基本方針は、私たち一人ひとりの「心のベクトルを合わせるもの」です。そして、悩んだり迷ったりしたときは経営基本方針に立ち返り、私たちの経営や行動の羅針盤となるものです。経営基本方針に基づく優れた実践は方針を上回ることがあります。方針に基づく実践に光を当て、実践の中から方針を磨いてきました。方針自体は抽象的なものであり、実践事例が方針を具体的にあらわしています。つまり、私たちの経営基本方針は実践事例を含めて方針として成り立ちます。事業計画は、経営基本方針に基づき組合員の期待や願いに応え続け、職員やパート職員が安心して働き続けられるユーコープにしていくために、人財育成や、事業と活動のあり方、投資や財務の水準など、年度ごとの重点課題と目標を具体的に定めたものです。つまり、経営基本方針と事業計画は一体的なものであり、一人ひとりの行動と結果(数値)が伴うことで経営が成り立ちます。
  2. 2.経営基本方針に基づく実践
    私たちはこれまでに組合員に喜んでいただけること、組合員のお役に立てること、家族のように友達のように相手を思いやり、お互いにやりがいをもって協力して取り組むことを大切にしてきました。このことは私たちの仕事に対する一貫した姿勢であり、将来に渡って大切にしていく価値観です。実践の中にはすぐには結果(数値)に結び付かないことも数多くありますが、組合員や仲間が笑顔になる実践を大切にし続けます。こういった実践の積み重ねが組合員からの信頼や仲間とのきずなを深めることにつながることを忘れてはなりません。
  3. 3.組合員の支持と私たちの仕事のでき栄えのバロメーター
    供給高は、何人の組合員の、どれだけの生活に役立ったかを示す組合員の支持のバロメーターで、“満足度のバロメーター”でもあります。組合員が購入する商品やサービスのどこに満足し、どこに満足していないかを常に、観つづけ、聴きつづけ、応えつづけていくことが必要です。経常剰余は私たちの“仕事のでき栄えのバロメーター”です。組合員からみれば、出資金の運用や利用する事業の運営を委託する上で、安心のバロメーターです。組合員の財産を運用し、事業によって剰余を確保し、事業を再生産していく責任が私たちに課せられています。職員一人ひとりが、経営者意識を持ち、数値にこだわり、それぞれの役割を果たす仕事をします。
  4. 4.私たちの成果と数値で観ること
    私たちにとっての仕事の成果とは、組合員に気持ちよく利用していただくこと、ユーコープを利用したことで組合員のくらしが豊かになること、提供する商品やサービスに満足していただけることです。これをおうちCO-OPやお店で考えると、欠品がない、鮮度がいい、時間通りに配達に来てくれる、応対が気持ちよく親切、価格や規格が買いやすい、などといったことになります。これらを数値に置き換えて観ると、一人当たりの利用高が増えているか、来店頻度が増えているか、新規の組合員が定着しているか、お申し出やお問い合わせの件数が減っているか、誤配が減っているか、商品回転率は適正か、人時供給高や人時生産性は適正か、満足度調査などのスコアは上がっているか、などといったことになります。
    そして大切なのはこれらの数値から組合員の満足度や私たちの仕事のでき栄えの成果を「数値で観る」ことです。成果を数値で観て、上手くいっていればその実践を真似し、上手くいっていなければ、どこに組合員が満足していないのか、私たちの仕事の進め方のどこに問題があるのかを考え、分析し、行動を修正していきます。
  5. 5.基本を大切にするということ
    基本を徹底するということはとても難しいことです。お買い物の場面で考えると、いつも或いはその時々で欲しい商品や利用したくなる商品が、鮮度よく、お手ごろな価格で、きちんと品ぞろえされていて、組合員が快適な状態でお買い物ができることや、満足いただける状態で商品がお届けできることです。これを実現するためには、現場、後方物流、本部、働くすべての人がそれぞれの職務に応じて、必要な知識と技術を身につけ、それを買い場(購買事業以外の人はそれぞれの業務)で具体的に実現し、さまざまなノウハウを積み重ね、その成果を数値で観ていくことが必要です。これが基本の徹底であり、そのレベルが組合員からの支持を左右します。ユーコープグループでは多くの人が働き、毎年多くの人が入職します。基本の大切さを理解するとともに、一人ひとりの到達点、課題、めざすことを相互に確認し、ユーコープ全体として高いレベルで基本を実践できている状態をめざします。そのことが組織の総合力を高め、組合員の支持や仕事のでき栄えの向上につながります。そして、一人ひとりの地道な基本的な努力に光を当てます。
  6. 6.仕事の精度を高めるということ
    仕事をしていると組合員との約束を忘れてしまったり、確認不足でお届け商品を間違えてしまったり、発注数量を間違えてしまったりなど、ミスをしてしまった経験は誰もがあると思います。こういったミスは組合員に迷惑がかかり、ユーコープに対する信頼が低下することにつながります。また、ミスによって発生した問題への対処は本人だけでなく、周囲にも迷惑を掛け、時には膨大な作業が発生することになります。ミスを無くしていくことが結果として組合員の満足度とユーコープへの信頼を高めるとともに、生産性の向上にもつながります。メモを取ること、確認を疎かにしないこと、周囲とのコミュニケーションをしっかりととることなど、一人ひとりが仕事の精度を高めることを意識します。そしてミスは誰にでも起こりえることであり、その時にはチームユーコープ、オールユーコープでカバーしていくことに働くすべての人が全力を尽くします。
  7. 7.法令や内部ルールの遵守
    私たちが事業をしていく上では、守らなければならない法令が数多くあります。道路交通法、食品衛生法、労働基準法などは働くほぼ全ての人に関わるものです。消費生活協同組合法(生協法)は、生活協同組合に関わることが定められていますし、私たちが遵守しなければならない法令は数多くあります。また、ユーコープ内部においても就業規則や各種マニュアルをはじめとしたさまざまなルールがあります。法令や内部ルールにはそれぞれに目的がありますが、総じていえば組織としての社会に対する責任や組合員に対する責任を果たしていくことに加え、働く人を守るためのものです。ユーコープは法令や内部ルールの周知を行い、働く一人ひとりが自らの仕事に関わる法令や内部ルールを理解し遵守していくことが、ユーコープが社会的に信頼され、組合員への責任を果たしていくことにつながります。

「すべては 目の前の 組合員のために」

指針1.組合員の立場で実践できる、人と組織をつくります。

  1. 1.組合員との距離の近い関係づくりを大切にして、くらしをよく知りその声を生かします。
  2. 2.目の前の組合員にとってどうなのかをものさしに、どうやったらできるのか先ずやってみます。
  3. 3.組合員が満足し、利用し続けてもらえるユーコープをめざし、素直な心で知識、技術を学び合います。
  4. 4.助け合い協力し合い仲間を思いやる、ありがとうの言葉があふれる仲のいい組織をつくります。
  5. 5.地域での組合員活動をよく知り、ともに参加することで組合員とのつながりをより深め広げます。

指針2.組合員の期待に事業で応え、事業構造の改革を進めます。

  1. 1.利用が増えることで供給が増え、持続的に利益が出る構造へ転換します。
  2. 2.一人ひとりのくらしに役に立つため全事業が協力し合い一体となったお仲間づくりを進めるとともに、継続してご利用いただけることを大切にします。
  3. 3.くらしからの願いに応えることができる商品づくりと品ぞろえを進めます。
  4. 4.基本を大切に、組合員に期待されていることを利用の場で実現します。
  5. 5.宅配事業は店舗事業と協力し、組合員とのつながりを深め地域のくらしに役立ちます。
  6. 6.店舗事業は宅配事業と協力し、組合員とのつながりを深め地域の拠点として役割を果たします。
  7. 7.共済・保険は、心・知識・技術を磨き地域にユーコープの保障を伝え広げます。
  8. 8.福祉事業はくらしに寄り添える持続的な事業が展開できるよう人づくりと体制づくりを進めます。

指針3.持続可能な社会づくりに貢献します。

  1. 1.内外コミュニケーションを組織全体で進めユーコープファンの輪を広げます。
  2. 2.商品を通じて生産者、お取引先、組合員とつながりの輪を深め広げます。
  3. 3.事業と活動が一体となり健康づくり、平和、環境、社会貢献、被災地支援に取り組み、地域を包括したネットワークづくりに貢献します。
  4. 4.地域のことをよく知り、お役に立てる実践を積み上げることで地域の一員として役割を果たします。
  5. 5.安全・安心、くらしの知恵、実践事例をわかりやすく、見やすくする改善を進め、同時にコミュニケーションにおいてさまざまなチャレンジをします。