しっかりお肉の味がします

CO・OPロースハムは素材の自然の色と味がそのままの「無塩せきハム」です。無塩せきとは、肉の色を鮮やかにする発色剤(亜硝酸ナトリウムなど)を使用しない製造方法。「色が悪い」「見映えがしない」といった声もありますが、香辛料やスモーク方法などを工夫し、しっとりマイルドな味わいに仕上げました。おいしさに定評があります。

1972年、組合員の声で始まったロースハムの開発

当時のハム

コープの無塩せきハムが誕生したのは1972年。旧横浜生協(現ユーコープ)の組合員の声が大きなきっかけでした。そのころハムやソーセージといえば真っ赤に着色され、他にも発色剤やさまざまな食品添加物が使われていました。当時はいくつかの食品添加物が安全性の問題を指摘されていたこともあり、「不必要な食品添加物はできるかぎり使わないで」という声に応えてコープ独自のハムやウインナーを開発しました。

当時、無塩せきのロースハムとウインナーの開発に参加した、組合員の中村さんに聞きました

「子どもたちに良いものを食べさせたい一心で開発しました」

旧横浜生協(現ユーコープ)組合員(左から)
中村喜美子さん 村山節子さん

1972年、組合員2,000人による「消費者委員会」でハム・ウインナーの商品開発に取り組みました。ハムやウインナーは子どもたちが好んでよく食べるものだからです。それは委員会メンバーの家計簿からも裏付けられました。まずハム・ウインナーがどう作られているのか調べたところ、着色料、保存料、発色剤、結着料、防腐剤などさまざまな食品添加物が加えられていました。原料の質が劣っても見た目や日持ちが良く、安く売れるためでした。そこで私たちはすべて無添加で作ることに決めました。当時そういうものは市販されておらず、担当職員と一緒にメーカーをまわっても相手にしてもらえませんでしたが、ようやく鎌倉ハムクラウン商会という小さなメーカーが協力してくれることになりました。

ハムができあがったときは、そのおいしさに驚きました。お肉そのものの味がして、市販のピンクのハムとはまったく違ったのです。でも見た目が悪い上に日持ちせず、切ればボロボロ、しかも空気にふれると茶色くなってしまいました。年末はたくさんの利用がありましたが、いざ自宅で切ってみて「こんなのハムじゃない」とほぼ半数の方から返品されたことは、今も忘れられません。

それでもメーカーの方に「私たちが売ります。だから作ってください!」と約束し、店頭で地道に良さを伝え続けました。味や品質の良さ、色が悪い理由、また「薄く切れないから厚めに切ってハムステーキにして」などと伝えるうち、徐々に利用が広がっていきました。今、無塩せきの商品が全国で当たり前のように店頭に並んでいることを、とてもうれしく思います。それこそが私たちの望みだったのですから。