2016年11月28日
2014年から2018年までユーコープで取り組んでいるユニセフ「ネパール指定募金」。「みるくぼきん」や組合員活動の「カレンダー募金」などを通じて5年間で5,000万円を目標に支援をしています。
2016年11月6日(日)~12日(土)、神奈川県ユニセフ協会ではネパールの児童労働の取り組みの現状を知ることを目的に現地視察を行いました。この現地視察には、ユーコープからは組合員理事1名と職員1名が参加しました。児童労働を防止する取り組みの進捗について報告します。
ネパールはどんな国か知っていますか?ネパールは北はヒマラヤ山脈、東・西・南はインドに挟まれた国で人口は約2,800万人。18歳以下が42%を占める若い国です。
ネパールでは2015年4月25日と5月12日に大地震があり、被災地支援を優先して取り組んだため、児童労働防止の活動は一時的に遅れました。現在は、南ネパールの8つの自治体で児童労働を防止する取り組みを進め、成果を上げています。
ユーコープからユニセフに届けられた募金は、児童労働をなくすための仕組み作りに使われています。その内容は大まかに以下のようになります。
(1)啓蒙活動と地域の目 | 地域コミュニティ・業界・メディアなども巻き込んで児童労働の防止を啓蒙し、地域の目で見守る。 |
(2)学校に戻る仕組み |
児童労働をしている子どもたちのデータベースを作り、教育の機会を与えて、保護者や子ども自身に教育の大切さを教えて学校に戻していく。 |
(3)経済的支援 | 児童労働の原因は家庭の貧困。保護者と相談をしながら起業などに必要な資金を援助する。また、貯金する習慣を身につけ経済的安定性をもたらすために保護者自身の銀行口座を開設する。 |
それぞれを詳しく紹介します。
(1)啓蒙活動と地域の目
各市では、17歳までの子どもで構成する「子どもクラブ」を設置し、運営を支援しています。子どもクラブでは児童労働や児童婚を防止するために地道な戸別訪問で住民と対話し、ストリートパフォーマンスで啓蒙活動をしています。母親など女性が構成する団体「女性協同組合」は子どもクラブを支えながら一緒に活動しています。また、警察やホテル業界・バス会社の業界・新聞社・テレビやラジオ局なども協力しています。
(2)学校に戻る仕組み
児童労働をしている子どもたちは同年代の子どもと比べて学習が遅れ、中には最初から学校に行っていないため文字の読み書きができないケースもあります。学校に戻る際の足掛かりとして2つの施設があります。「遊びながら学ぶセンター」では文字や計算などの基礎を学び、「アウト・オブ・スクール」では学校で一般的に教えている9科目を学びます。それぞれ10カ月在籍して学びます。アウト・オブ・スクールを終了するときに学力診断を行い、学力に合った学年に戻っていきます。
(3)経済的支援
児童労働をする子どもたちの家庭は貧困家庭です。児童労働をやめてしまったら生活ができないケースも珍しくありません。そこで保護者の起業に対して金銭的な支援をしています。支援金額は家庭によって違いますが、例えば商店を開く場合、施設や仕入れに必要な資金2万ルピー(日本円で約2万円)を支援。それに加えて、銀行口座を開設するのに最初に口座に入れる資金3000ルピーを支援します。その事業がうまくいくことで、子どもたちは児童労働をやめて学校に行くことができるようになります。
スワティーさんは16歳。生活のために母親と一緒に内職をしていました。ところが内職が忙しくなり、学校に行けなくなりました。その後父親が資金援助を受けて小さな商店を開き、スワティーさんは学校に行けるようになりました。
サガくんは13歳。1年前、生活が苦しいために両親はインドに出稼ぎに、サガくんはホテルに住み込みで働いていました。市役所の支援でヤギを飼い、ヤギの子どもを売ることで家計が改善。サガくんは学校に行けるようになりました。