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内閣総理大臣・経済産業大臣・環境大臣あてに「エネルギー基本計画(案)見直しに関する意見書」を送りました

2025年1月28日

2025年1月22日(水)、内閣総理大臣・経済産業大臣・環境大臣あてに「エネルギー基本計画(案)見直しに関する意見書」を送りました。
全文は以下の通りです。

内閣総理大臣 石破 茂 様
経済産業大臣 武藤 容治 様
環境大臣   浅尾 慶一郎 様


第7次エネルギー基本計画(案)、
地球温暖化対策計画(案)、GX2040ビジョン(案)に対する意見

生活協同組合ユーコープ
代表理事理事長 當具 伸一

 日本だけでなく、世界中で気候変動による災害が増えています。2023年は産業革命時から1.48℃上昇し、観測史上最も暑い一年になりました。このままでは温暖化が進み、「沸騰化」の状態が常態化する恐れがあります。パリ協定の目標達成には、さらに大幅な温室効果ガスの排出削減が必要です。
 私たち生活協同組合ユーコープは、“「人-社会-自然」の調和ある平和な社会の実現に貢献する”を理念に掲げ、地域や地球環境の持続可能性を大切にした事業と活動を展開しています。特に消費者のくらしに密接なエネルギー問題については強い関心を持ち、「電力の原子力発電の依存度合を段階的に引き下げ、最終的に原子力発電に頼らない社会を目指す」との考えを掲げてきました。
 このような観点から、「第7次エネルギー基本計画」「地球温暖化対策計画」「GX2040ビジョン」の策定は重要であると考えます。持続可能な社会の実現につながる計画となるよう、以下の4点を要望します。

1.2040年の原子力発電の割合は限りなくゼロに近づけ、その工程を具体化すべきです。
2011年の福島第一原発事故以降、原子力発電に対する国の方針は「原発依存度を可能な限り低減させる」でしたが、今回の案ではこの方針が削除されました。新しい計画では、原発の建て替えが別の敷地でも認められ、2030年度には原発の割合が20~22%に増加、2040年2割程度と大幅に増加するなど、原発回帰の計画になっています。
また、再生可能エネルギーや省エネといった経済的な代替案がある中で、新たな原発建設は莫大な費用がかかり、そのリスクとコストを将来世代に負担させることになりかねません。福島第一原発事故から13年が経過しましたが、廃炉作業は困難を極めています。高レベル放射性廃棄物の処理方法も未確立であり、地震が頻発する日本では安全性も保障されていません。
したがって、2040年までに原子力発電の割合を限りなくゼロに近づけ、具体的な工程を策定することを求めます。

2.再生可能エネルギーの拡大を最優先にするべきです。
G7では「先進国は2030年までに石炭火力から脱却する必要がある」と確認しましたが、日本は2040年以降も石炭火力を利用し、水素・アンモニアの混焼やCCUSを推進するとしています。しかしこれらは高コストでCO2削減効果が低く、アンモニアはNOxを発生させ、大気汚染が危惧されています。
また、再生可能エネルギーの2040年の電源構成について4~5割としていますが、再エネは低コストで環境負荷が小さく、ポテンシャルも高いことから、より高い目標を設定するべきです。限られた資源は、火力発電や原子力発電の延命に使うのではなく、これらのポテンシャルの高い再生可能エネルギーの拡大に充てることが必要と考えます。

3.日本政府の温室効果ガス排出削減目標は不十分です。
2030年までに2013年度比で46%削減、2035年までに60%削減という目標は、パリ協定の1.5℃目標と整合していません。1.5℃目標を達成するには、2030年までに51%削減、2035年までに66%削減が必要です。
歴史的に多くの温室効果ガスを排出してきた先進国として、さらに高い目標が求められます。国連に提出するNDC(温室効果ガスの排出量削減目標)との関係を考慮し、計画の上方修正が必要です。

4.国民不在の気候・エネルギー政策形成プロセスは問題です。
気候とエネルギー政策は、全ての国民に影響を与えます。検討に際しては、若い世代や環境団体をはじめ消費者の実質的参加の場を確保すべきです。また、計画策定後は、その内容を国民に分かりやすいように周知・広報を進めてください。

以上
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