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消費者庁に「食品ロス削減の推進に関する基本的な方針(素案)」に対する意見を提出しました

2020年1月29日

消費者庁 消費者教育推進課
意見募集ご担当者様

「食品ロス削減の推進に関する基本的な方針(素案)」に対する意見

 生活協同組合ユーコープ  
 代表理事理事長 當具 伸一

 ユーコープは、「『人-社会-自然』の調和ある平和な社会の実現に貢献する」を理念に掲げ、地域や地球環境の持続可能性を大切にした事業と活動を推進しています。具体的な取り組みとして、食品ロス削減に努めることはもちろん、廃棄物削減に関する広報活動や学習会、店舗でのフードドライブ活動、宅配でのキャンセル品や予備品のフードバンクへの提供、フードバンクへの運営への参加や支援などを積極的に進めています。
 「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(素案)」は、国民的にも関心が高い課題について、国内の行政から消費者に至るあらゆる関係者が連携しながら、さらに抜本的な施策に取り組むことを示しており、歓迎すべきものであると捉えております。
 そのような立場から、この「食品ロス削減の推進に関する基本的な方針(素案)」(以下、基本方針素案)に記載された施策が、日本の食品ロス削減対策を促進する実践的な内容となることを期待し、下記4点を要望します。


1.フードバンクについて
①フードバンクが継続的・安定的に発展できるよう、フードバンク団体の人材育成やインフラ整備など、基盤強化に対して国や自治体が支援していくことを明記すべきです。
フードバンクは、活動そのものから収益を得ることができず、活動を持続していくための事業費の確保や、食品の保管・配布などのインフラ整備、人手不足などの課題を抱えています。欧米のフードバンク団体が安定して事業を実施できるのは、豊富な民間からの寄附に加え、政府や自治体による公的資金の投入・支援によるところが大きいと言えます。フードバンク活動は、食品ロスの削減による環境負荷の低減のみならず、福祉の増進や災害時の食糧支援など極めて公益性の高い活動です。フードバンク団体の人財育成や事務所・倉庫・配送用車両等のインフラ整備など基盤強化のための公的支援は社会的効果が高いと考えます。

②フードバンク活動について、適切に商品や食材を取り扱った際の事業者の責任を免除するための制度やガイドラインの策定を具体的に明記すべきです。
現在、フードバンク活動では、食品提供を行う企業等とフードバンクとの間で契約書・覚書等が取り交わされてはいるものの、企業側からは「万が一事故等が発生してしまう事態を恐れてフードバンクへの食品提供をリスクと考え、実施できない」という声が聞かれます。一方で、米国、カナダ、オーストラリアなど複数の国では、事故発生時に食品提供者の責任を免除する法律が制定されています。上記を踏まえ、事業者側が食品ロス削減に取り組む際の懸念やリスクを最小限にし、存分にさまざまな取り組みを行えるよう、制度やガイドラインをさらに整備する必要があると考えます。

2.外食時の持ち帰り(ドギーバック等の取り組み)の普及について、事業者が安心して食品ロス削減の取り組みに参加できるよう、制度を整備すべきです。
外食時の食べきりや持ち帰りについては、2019年5月に、消費者庁・農林水産省・環境省の連名で「外食時のおいしく『食べきり』ガイド」が発行され、「食べ残し料理の持ち帰り」を促進しています。しかし、持ち帰った食品によって事故が発生した際に、外食事業者に指導が入るなどの懸念があり、取り組みの普及は限定的となっています。外食事業者の懸念を払しょくし安心して取り組みが行えるよう、制度の整備が必要であると考えます。

3.食品リコールにあたっての自主回収について、関係省庁と連携し、運用の原則について検討してください。
食品衛生法が改正され、食品リコール制度が創設されました。この制度は、食品のリコール案件のうち、安全性に関するもののみについて届出を求めるものです。安全性に関係のあるものだけをデータベースに掲載することで、無駄な食品ロスを減らす目的もあります。消費者庁は、厚生労働省など関係省庁と連携し、制度運用の合理的原則を検討してください。

4.「食品ロス半減」という目標の達成に向けた基本方針について、実施状況を点検する際の重点指標や項目を明示すべきです。
基本方針素案の目標は、「食品ロスの削減目標等(2000年度比で2030年度までに食品ロス量を半減)」を達成すると示されており、その目標達成に向けての進捗確認や施策の実施状況については、継続的に点検し進捗確認を行うとともに、必要に応じて見直しを行うとしています。しかし、施策の実施状況を管理する具体的な指標・項目が明示されていません。地方自治体が基本方針に基づき策定する食品ロス削減計画を実行性のあるものにするためにも、基本方針の目標達成に向けて着実に施策を実施するためにも、施策の効果を検証するための重点指標や項目の設定が欠かせないと考えます。