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資源エネルギー庁へ「長期エネルギー需給見通しについての意見書」を提出しました

2015年4月23日

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4月23日、生活協同組合ユーコープは、理事長名で、
「長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)についての意見書」を
資源エネルギー庁宛に送付しました。

全文は以下の通りです。



 

 

2015年4月23日

資源エネルギー庁  総合政策課 御中

 

長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)についての意見

 

 

生活協同組合ユーコープ  理事長    當具  伸一

 

  東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機として、エネルギー政策は広く国民の関心事となりました。生活協同組合ユーコープでは、東日本大震災以降、エネルギーのあり方として「電力の原子力発電の依存度合いを段階的に引き下げ、最終的に原子力発電に頼らない社会をめざす」「電力における原子力と化石燃料を中心としたエネルギー政策を見直し、再生可能エネルギーの導入促進拡大をめざす」「大規模一極集中、地域独占型の電気事業のあり方の見直しを求める」「エネルギーの使用量を減らす社会環境づくりをすすめる」とした考え方を掲げてきました。

  この度、経済産業省が長期エネルギー需給見通しについて検討されるにあたり、出来る限り幅広く多くの国民からの意見を募るために意見箱を設置されたことは、短期の経済的な影響に左右されることなく、くらしのあり方、国の在り方にも及ぶ国民的なよりよい議論につながる意義深いことと考えます。ここに寄せられた意見を十分にご検討いただけることを期待いたします。

  その上で生活協同組合ユーコープは長期エネルギー需給見通しの論議にあたり、以下の4点について意見を述べます。

1.最終エネルギー消費量の目標は、2030年度には2010年比25%以上の削減を目標とすべきです。
戦後、右肩上がりであったエネルギー需要は少子高齢化による人口減少や、製造業からソフト・サービス産業への産業構造の変革によりエネルギーの需要構造は減少に転じており、2013年度は2004年度対比で11.3%減少しています。将来推計人口では、2010年対比で2030年には9%減少し、国民一人あたりのエネルギー消費量が変わらなくてもエネルギー需要全体は1割近く減少します。社会構造の変化を前提として、又さらなる省エネルギー技術の進歩や国民の意識改革による「徹底した省エネルギーの取り組み」により15%以上を見込んで、最終エネルギーの消費は2030年度には2010年比で25%以上の削減を目指すべきです。

2.再生可能エネルギーの導入目標を30%以上とし地域分散型へ転換すべきです。
エネルギー資源が少ない日本にとって、太陽光、風力、バイオマス、小水力等をはじめとする再生可能エネルギーは潜在的なポテンシャルが高いばかりでなく、分散型エネルギーでもあり、大規模災害などによるリスク分散の効果も期待されます。
再生可能エネルギーの先進地であるEU各国では40%以上の導入目標を掲げ、原子力発電の促進を目指しているイギリスでさえ30%を掲げています。
現在の日本の技術や設置に関わる条件を勘案しても30%以上の導入を目指すべきです。 再生可能エネルギーは変動幅が大きく、広い地域で電力を融通しあうことが欠かせません。
地域の特性に合わせた再生可能エネルギーを広い範囲で組み合わせ利用することは、エネルギーの安定利用を可能とするばかりでなく、地域活性化の施策となる可能性も秘めています。

3.議論が不十分な原子力発電の目標設定は困難で、最終的にゼロを目ざすべきです。
東京電力福島第一原子力発電所の事故が未だ収束しないばかりでなく、使用済み核燃料や核廃棄物の処理方法も確立していません。そのような中、原子力発電所の再稼働については様々な議論が飛び交い、国民的な合意に至っていないと考えます。
原子力発電はベースロード電源と位置づけられていますが、地元や国民的な合意が得られないまま、導入目標値を設定することは困難であると考えます。原子力発電の再稼働については情報公開のもと、安全を大前提として地元と国民的な論議を行うべきです。
長期的には老朽化及びリスクが高い原子力発電所については法の基準を厳格に適用して廃炉にし、最終的に原子力に頼らない電源構成を目ざすべきと考えます。

4.電力システム改革は消費者・需要家が望む選択肢を提供できるように改革を進めるべきです。
電力事業の構造改革が進められていますが、東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機として、国民は「どのような電源で発電された電力であるのか」ということに関心を持つようになりました。電力事業の競争を促進するためには、新規事業者の参入を促す発送電の分離が欠かせません。
また、消費者・需要家の選択肢を広げるため電力事業者に電源構成や料金、サービスなどの情報公開を義務付け、消費者がそれらを比較しやすい条件整備を図る必要があると考えます。