重要なお知らせ

新しい「エネルギー基本計画」に対する意見表明を行いました

2014年4月18日

4月17日、生活協同組合ユーコープは、理事長名で、
新しい「エネルギー基本計画」に対する意見表明を内閣総理大臣宛に送付しました。


全文は下記のとおりです。
      新しい「エネルギー基本計画」に対する意見


平成26年4月17日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

新しい「エネルギー基本計画」に対する意見表明

 

生活協同組合ユーコープ 理事長 當具 伸一

 

 平成26年4月11日に閣議決定された「エネルギー基本計画」について消費者の立場から意見を申し述べます。

  東日本大震災と同時に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故発生から3年が経過しましたが、いまだに10万人を超える人々が避難を余儀なくされています。また、オリンピック招致活動の際「管理の下にあると」世界に明言した汚染水問題はいまだに不具合が頻発し、解決の目処が立っていません。

  平成24年に実施した「エネルギーと環境に関する国民的議論」では「原発ゼロ」を求める声が8割を超え、12月に行われた衆議院選挙で政権与党は「原発依存度の低下(自由民主党)」「脱原発(公明党)」と、いずれも脱原発ないしは原発依存度の低下を掲げて国民の支持を得ました。今回閣議決定された「エネルギー基本計画」は従来の方針を180度転換し、「原発ゼロ」の目標を明示しないばかりか、原子力発電を重要なベースロード電源と位置づけるなど多くの国民の声から乖離しているといわざるを得ません。

  以上の基本的な見解を踏まえ、当生協の意見を下記に述べます。

 

 

1.電力における原子力に対する依存度合いを段階的に引き下げ最終的には原子力発電ゼロを目指すべきと考えます。

(1)「原発ゼロ」社会への過渡的な措置として休止している既設の原子力発電所の再稼動について、東京電 力福島第一原子力発電所事故の原因も分かっていない状況下では時期尚早であり、関係する地元の理解と国民的理解を得ることなく再稼動を強行しないでください。

(2)老朽化及び地震や津波など事故のリスクが高い原子力発電所は法の基準を厳格に適用して廃炉にしてく ださい。

(3)新たな原子力発電所の建設計画は凍結して、原子力発電所の新増設はしないでください。

(4)核燃料サイクル政策については、計画立案から長い年月が経ったにも関わらず、いまだに実現の目処が 立たず、計画は破綻しているといっても過言ではありません。また、核廃棄物の処分施設設置も困難なことか ら、核燃料サイクルは根本的に見直し、資金や人的資源は核廃棄物の安全な処理方法の確立など国民の不安解消に役立つ研究に振り向けてください。

 

 

2.電力における原子力と化石燃料を中心とした政策を転換して、再生可能エネルギーの導入は目標を持って
進めてください。


(1)再生可能エネルギー導入割合に関する目標を定め、目標達成のため施策を強化してください。

(2)再生可能エネルギーは地域の特性や資源を生かすばかりでなく、新たな雇用や成長を生み出す可能性を 持っています。
また、地産地消の分散型エネルギーであることから非常時のリスク分散の効果も期待されます

 

 

3.電力システム改革は基本計画どおり確実に実施してください。

(1)電力会社の地域独占体制を改め、発送電分離を含めた家庭用の全面自由化を計画通りに進め、消費者・ 需要家が主体的に発電事業者を選べる仕組みを構築してください。

(2)原子力、火力を中心とした既存の一極に集中した電力システムを転換して、地域の特性にあった再生可 能エネルギーのエネルギーミックスを構築してください。この時、電力料金が大幅に上昇しないように進めて ください。

(3)国民の省エネルギーが更に進むようエネルギーの見える化や省エネルギー技術の普及が必要であると考 えます。スマートメーターの導入やスマートコミュニティーの実現を滞ることなく計画通り進めてください。

(4)国民にエネルギーの意識を定着させ過度のエネルギー消費型社会・経済体制を改め、人々のくらしや産 業のあり方などを見直すため、国民の理解が深まるよう教育機会の設置と情報発信を進めてください。

 

 

以上