参加と交流のひろば 参加と交流レポート:くらしの見直し

「家計簿は、時代を写しとり、未来を見通す鏡」 家計簿活動40周年記念講演より

2013年1月26日

交流会1月26日、コープの組合員による家計簿活動が40周年を迎えたことを記念して、「家計簿交流会」が開催されました。

記念講演として、生協家計簿の編纂にかかわり、生協の家計簿活動をスタートから牽引した組合員の中村喜美子さんをお招きし、家計簿活動草創期の様子(家計簿作成の苦労・家計簿活動の歴史・生協の社会的活動など)について、貴重なお話をうかがいました。

中村さんの講演概要

私は結婚当初からずっと家計簿をつけていましたが、あるとき生協の班活動、消費委員会活動の一環で声がかかり、生協の家計簿編纂にかかわることになりました。

生協家計簿が誕生したのは1971 年。編纂にあたっては<1.自分のくらしを見つめる><2.生協の運営に携わる><3.社会的に見る目を養い、発言をする>という3 つの柱をテーマに据えました。費目や書式を決めるのには大変苦労し、大学教授などにも教えを請いながら、出来上がるまでにおよそ1年間もかかりました。その苦労のかいがあり、今も生協家計簿の形式は当時とほとんど変わっていないですよ。

講演された中村さん翌1972 年、神奈川県生活協同組合連合会の「家計簿委員会」として、家計簿活動が始まりました。「皆さん使ってくれるかしら」とドキドキしながら家計簿を1000冊用意したのを覚えています。1冊300円は当時としてはかなり高額だったのですが、家計簿を提出してくれる人には無料でお分けすると決めたところ、たくさんの組合員が家計簿活動に参加してくださって、400部ほども出してもらえました。

さて、集まった家計簿を集計・分析してみると、12カ月の給料のうち、約1カ月分が税金として引かれ、さらに1カ月分は社会保障に支払っていることが明らかになり、とても驚きました。当時はオイルショックの時代。物価高で商品は日に日に値上がりしていましたから、サラリーマンのくらしは大変でした。それなのに実質10カ月分の給料で生活をしなければならない状況だったのです。手取りの額よりも、見えにくい「非消費支出」に目を向けることが重要なのだと知りました。

130126filing2.jpg「昭和49年家計簿集計結果」は、くらしの厳しさを訴える貴重な資料として国会に提出され、「物価調整減税」実施のきっかけになりました。

家計簿は一家庭の家計を見つめる道具にとどまらず、集めることで客観的な「データ」となり、その結果、庶民の家計の状況を当時の田中角栄首相に伝えることができました。このことは家庭の主婦たちが社会に目を向ける大きな役割をも果たしました。

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(写真は中村さんのスクラップファイルより)

また、私にとっては家計簿を見ることが自己啓発となり、どんな教科書・教材よりも自分の役に立ちました。

130126nakamurasan.gifその後、家計簿活動をもっと広めようと日本生協連へ呼びかけた結果、やがて全国規模に発展しました。全国の家計簿委員会で毎月集計を行うようになり、現在まで家計簿は、個々の家計の見直しにも社会に向けての発信にも役立ち続けてきました。
生協の家計簿活動が40年も続いてきたことにあらためて感激し、やってきて良かったと思います。家計簿はその時代を写しとるとともに、10年、20年後を将来を見通す鏡になります。また、たくさんのサンプルは、自分の将来設計にも役立ちます。

結婚後毎年1冊つけてきた私の家計簿50冊(下の写真)は、高度成長期から現在に至る日本の歴史の片りんを記録した資料として、今、独立行政法人国立女性教育会館(ヌエック)(※)に保管していただいています。

中村さんの50冊の家計簿※男女共同参画推進のための研修、調査研究、教育・学習支援などを実施する機関です。中村さんの家計簿はここに保管され、閲覧できるようになっています(国立女性教育会館女性デジタルアーカイブシステム「資料群32 中村喜美子資料」でデータ化された資料をご覧になれます )。

女性アーカイブセンターは、男女共同参画社会の形成に顕著な業績を残した女性、全国的な女性団体や、女性教育・男女共同参画施策等に関する史・資料を収集・整理・保存しており、、男女共同参画の推進に関する啓発、学習・研究支援等に広く活用できるよう公開されています。




■家計簿提出活動とは

コープでは、社会に消費者のくらし向きを発信する「生計費調査」を目的として、組合員を対象とした家計簿モニター制度を設けています。家計簿は個人の家計を把握するツールではありますが、多数集め、分析することで、社会の動きを知る貴重な資料となります。

現在神奈川県内の家計簿モニターは781人で、首都圏の家計調査としては最大級の規模です。毎月提出される家計簿は組合員有志で構成する「家計簿・くらし調査研究会」が集計、分析を行っています。また日本生活協同組合連合会へも提供し、全国調査にも使用されています。

■家計簿活動の歴史

コープの家計簿活動は、1972年に全国に先駆けて旧コープかながわ(当時はかながわ生協の前身の横浜生協)で始めました。「昭和49年家計簿集計結果」は国会大蔵委員会に提出され「物価調整減税」実施のきっかけとなりました。また1980年代には「1万人家計簿提出運動」を行い、これが日本生協連による全国生計費調査の礎となりました。

関連情報

家計簿活動40周年の記念交流会を開催しました

「家計簿から見たくらしの40年」(PDF 12.4MB)はこちらから:ユーコープの本棚

中村さんがたずさわった無塩漬ロースハムとウインナーの開発(1972年):コープ商品ピックアップCO・OPロースハム

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