コープのとりくみ

食について考える 「産地交流・食育」

『コープの食と食料 報告・交流会』開催報告

2012年1月 9日

今年度の報告・交流会は3つのコープの産地から生産者をお招きし、震災から復興へ一歩一歩進んでいる報告がされました。多くの組合員が参加し生産者の思いを受け取り、利用することが被災地支援につながることだと感じる交流会となりました。

『コープの食と食料 報告・交流会』のようす

『コープの食と食料 報告・交流会』のようす

   【主催】  市民生協やまなし     【日時】 12月15日(木)  10:00~14:30

   【場所】 山梨市市民会館      【参加人数】 23名

   【参加者】 組合員理事・組合員活動サポーター・商品活動サポーター・組合員発コミュニケーションサポーター・ひとめぼれチャレンジ参加組合員

   【参加生産者】 宮城かき:保原商店

               岩手ひとめぼれ:JA岩手ふるさと

                          味菜卵:八千代ポートリー

 

 

◆ 以下は参加組合員のレポートです。

 

   ・・・  レポート by おうちMAMA  ・・

 

2011年度上期は、「東日本大震災復興に向け がんばる産地を食べて応援しよう」ということで、生協では、様々な取り組みがなされてきました。
被災地にある、産直産地,コープと取引のあるメーカーのみなさんへ、一日も早い復興を願って、私たちに出来る事、それは、募金のみならず、商品の利用を通じての支援でもあります。
今回の、「報告・交流会」は、遠く被災地からお出で下さった、生産者団体の皆様の生の声、熱い思いを聞く良い機会となりました。

 

保原さん≪熱い思い その1≫
「森を再生し、海を再生して、もっとおいしいカキを作ります!」
株式会社丸ほ保原商店 保原敬明さん


保原さんの会社は、工場や多くの社員の皆さんを震災で失い、甚大な被害にあわれました。
カキを取る海が、「真っ黒な海の壁」となって襲ってきたといいます。
多くの物を失ってしまったけれど、自分達は、カキを育て商品として送り出すことで、雇用を生み地元を活性化してゆくんだという熱い思いをお持ちです。
震災以降、手の入れられなかった森は、野生の鹿たちの楽園となってしまったそうです。
原発問題では、放射性物質の検査を行い、「不検出」という結果を基に、安全性を発信してゆく、ということでした。

 

111222_2.jpg≪熱い思い その2≫
「特別栽培米ひとめぼれ、安心・安全へ日々奮闘中!」
JA岩手ふるさと 水沢地域営農センター営農経済課営農生活アドバイザー 青木光宏さん ・ ひとめぼれ生産者 高橋典雄さん


JA岩手ふるさとでは、平成17年3月、農業団体での取り組みではめずらしい、岩手県版ISO規格とも呼ばれるIES(いわて環境マネージメントスタンダード)を取得し、自然環境に配慮した、生産活動の実践をしてきています。
お米の生産者全員が生産履歴を記帳し、岩手県版GAP(農業生産工程管理手法)へ取り組み、特別栽培米「岩手ひとめぼれ」を作っています。普通の栽培でも、生産工程に厳しいルールがあるのに、作付面積の40%くらいの特別栽培米は、さらに農薬・化学肥料を減らしての生産になるため、生産者の高橋さんもご苦労されているとのこと。
やはり、こちらでも、放射性物質(セシウム)検査には、国や県の検査結果をふまえて、独自に簡易放射能測定器を導入して、自主検査をしていました。

 

111222_3.jpg≪熱い思い その3≫
「味菜卵は、日本の農業の自給力アップを応援します!」
(株)せりた 代表取締役社長 芹田省一さん (株)八千代ポートリー営業部社長付業務推進役 大越克美さん


「味菜卵」は、健康な鶏とこだわりの餌から生産されています。
震災の影響を受けたのは、餌工場だったそうです。そのため、餌の原料をアメリカから輸入した時には、原発の事故のために、港に船を着けてもらえず、福島の養鶏場は大変だったそうです。
国産飼料米の利用は餌全体の5%だそうですが、今後はその割合を上げてゆき、餌の自給率をも上げてゆきたい。「米農家」「養鶏家」「消費者」をつなげ「循環型農業」に取り組む事、それがひいては日本の農業を元気にすることになる、と芹田さんは未来の日本の農業を見据え、熱く語って下さいました。

 

それぞれの生産者のみなさんが各15分ほどずつ交代で、3か所に分かれたテーブル席を回り、私たちと直接交流しましたが、どこのテーブルに着かれても、持ち時間が足りないくらい、参加者との話が弾みました。
みなさんとてもパワフルで、私たちが元気をもらってる気がするね、という組合員さんがいました。

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≪組合員報告≫

111211_10.jpg小高真知子さんからの報告…
(指定産地米「北海道ななつぼし」の産地訪問)
小高さんは、産地米農家の皆さんが、1つの農薬を減らすために、様々な努力をされていることや、JAが、生育状況のデータを使って、農家のアドバイスをしていること、里山の環境を守り、食育を進めて、次世代の農業後継者が育つようにする取り組みもしている事などを伝えて下さいました。
そして、「今後も、安全で安心できる国産の食料を食べていきたい」とのことでした。


111222_7.jpg毎年、JA岩手の皆さんにご協力いただいて開催されている「ひとめぼれチャレンジ」に参加された、組合員の長谷川さんご夫妻が、チャレンジについて報告して下さいました。
この夏、小2のお子さんとチャレンジしたそうですが、ご主人は農家の出身であるにもかかわらず、種もみから育てることは、なかなか難しく、残念ながら枯らしてしまったとのこと。
JA岩手ふるさとの青木さんが、土や水の入れ方の、バケツで育てる時と、田で育てる時との違いなどアドバイスを下さいました。


≪試食タイム≫

「味菜卵」のゆでたまご、保原さんの「わかめ」、そして「岩手ひとめぼれ」をいただきました。

「味菜卵」は、何もつけなくても、卵の味がしっかりしていて、「わかめ」はシャキシャキ歯ごたえがあり、「岩手ひとめぼれ」は、ふんわりと炊けていて美味しかったです。

私たちが食べ物を口にできるまでに、生産者の皆さんの大変なご苦労があり、様々な困難を乗り越えて届くのだということを思うと、ひと口ひと口が愛おしく感じられました。

 

【生産者の声】

・TPPの問題が心配、と思っている組合員もいましたが、自分たちにとっては、むしろチャンスだと考えています。何も心配していません。(芹田さん)

・稲作以外にも、牛を育てたり、野菜を作ったりしていますが、何より後継者がいまのところいない状況です。(JA岩手のお米生産者の高橋さん)

 

・・・ 山梨の果物生産者も同様の問題を抱えていることを憂える組合員さんもいました ・・・

 

取材後記

震災で甚大な被害を受けられた「カキ」の保原さんの、「皆さんの支援は何より嬉しいが、この震災の記憶を風化させないで欲しい。一番大事なのは『命』そしてその後に食料です。防災より、減災。生き延びられるにはどうしたらいいかを考えていくことが重要です。」ということばは、本当に重みがあり、つらい経験をお話し下さった時には、涙ぐむ組合員もいました。
今回参加して下さった生産者の皆さんは、組合員からのメッセージをとても喜んで、励みにして下さっていました。
私たちの思いを、受けとめて下さっていることが分かりました。
私たちが出来ること、これからも続けていけることはたくさんあると思います。
産地で絶え間ない努力をして、私たちのもとへ、美味しくて、安心・安全な食料を届けて下さる、生産者の皆さんのことを忘れることなく、また、生産者の皆さんの熱い思いを受けとめ、一人でも多くの組合員の皆さんに、このことをお伝えしたい。
そして、これからも積極的に産地品の利用を広げて行くことがとても大切であるということを考えさせられた時間でした。
こうした生産者の皆さんの、「生の声」を聴けるチャンスを、もっと多くの組合員参加で開催できるとなにより素晴らしいと、本当に感じました。

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