機関誌mio 2018年4月号 | 生活協同組合ユーコープ
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心筋梗塞死亡率%5.0心筋梗塞死亡率%5.0高い低い高い低い肥満血圧コレステロール あなたは「好きなものだけ食べて10キロ痩せる脅威のダイエット法」を信じますか?「マイナス5歳肌の魔法の食べ物」とか、「すべての病気は〇〇の食べ過ぎが原因だった」といったタイトルにひかれたりはしませんか?そして、はやっているから…と自分でもちょっとやってみようと思ったことはありませんか?でも、人の体はおもちゃでも使い捨ての試供品でもありません。本当かどうか分からないことを簡単に信じてしまったり、「自分の体を使って」ちょっと試してみようと考えたりするのは、命や人の体・健康を軽んじる危ない行動だとぼくは思います。ワインと心筋■塞予防の関係を例にとって見てみましょう。突然ですが、あなたは以下の解釈をどう思われますか?「ワインをたくさん飲んでいる国の人たちは心筋梗塞による死亡率が低い」というニュースを見た。よし、今日からワインを飲んで心筋梗塞予防だ!骨粗しょう心筋梗塞死亡率が低い理由は流行の食べ物やダイエットに飛びついていませんか?「ワインは心筋梗塞予防に良い」説のマジック科学的根拠に基づく情報を毎月発信していきます大丈夫??うちの食生活今のままで健康に関する情報はあふれていますが、〝正しい情報〟かどうか判断するのは難しく、何から取り入れればよいか迷いますよね。そこで、東京大学大学院教授の佐々木先生にお話を聞いてみました。   症 ?     ()     i [参考文献]ワイン由来アルコール消費量は、S死亡率はWHOmortaasaki, et aNutr Metabl., lity statisticsから引用確かに、そういった研究報告はあります。しかし、ちょっと待ってください。その研究は私たち日本人にも当てはまるでしょうか?図1を見てみましょう。西ヨーロッパ15カ国における男性(45〜74歳)の心筋■塞死亡率と、ワイン由来アルコール消費量の関連を示すものです。縦軸は人口10万人あたりの心筋■塞による死亡率、横軸はワインの消費量です。ワインの消費量が多いほど、心筋■塞による死亡率が低いことが分かります。それでは図2を見てください。不思議なことに、図1に日本を加えると、日本はワインの消費量が少ないにもかかわらず、心筋■塞による死亡率が低いことが分かります。 この図でもっとも死亡率が低いフランスの半分以下です。つまり、日本人はワイン以外に心筋■塞を予防する何かがあり、それはワイン以上に大きな力をもっているらしいと分かります。この結果を踏まえると、「今日からワインで心筋■塞予防!」は日本人にはあまり当てはまらないと言えます。このように、根拠に基づいた信ぴょう性の高い複数の研究結果から得られる、食と健康に関する情報を毎月少しずつ読みといていきましょう。裏表紙のコラムもぜひご覧ください。Cardovasc Dis, 1994 ; 4:177-82から引用「和食」は本当に健康食か?ダイエットは糖質か脂質か? 栄養健康情報はなぜゆがむのか? 「根拠に基づく栄養学」がその問いに答えます。日本の栄養疫学研究をリードし、未来を切り開く佐々木敏先生が、疫学研究データから食べ物栄養と健康のつながりを解説します。April 20181080070060050040030020010000.01.02.0店舗をご利用の方は書店でお求めください。ワイン由来アルコール消費量※3.04.080070060050040030020010000.01.02.03.04.0少ない多い少ないフランス東京大学大学院教授佐々木 敏 先生ささき さとし多いグラフからはワインの消費量が多いほど、心筋梗塞死亡率が低いことが分かります図1に日本のデータを入れると日本ワイン由来アルコール消費量※日本のワイン消費量はとても少ない!他にあるということ図1西ヨーロッパ15カ国における男性(45〜74歳)の心筋■塞死亡率(人口10万人あたり)※全消費エネルギー量に対するワイン由来アルコール消費量のエネルギーの割合とワイン由来アルコール消費量との関連佐々木 敏の栄養データはこう読む!(女子栄養大学出版部)本体2,500円 (参考税込2,700円)4月3週 「かるなび」図2西ヨーロッパ15カ国における男性(45〜74歳)の心筋■塞死亡率(人口10万人あたり)とワイン由来アルコール消費量との関連※全消費エネルギー量に対するワイン由来アルコール消費量のエネルギーの割合佐々木先生の著書ご紹介

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