機関誌mio 2016年6月号
3/16

活〆作業は漁船上で夜通し行われる目の脇の傷が刃を入れた跡ニチモウ銀鮭会代表 須田範光さん漁船に揺られて約10分。水深約35mの海上に2基のいけすが並んでいます。1辺7.5mの鉄枠を八角形に組み、網と足場を取り付けただけのシンプルなものです。津波のため家も漁具もすべて流されましたが、写真のいけすは奇跡的に途中で引っかかり残りました。佐藤さんが手にするのは生後11カ月・150gの稚魚。これから半年で約2㎏に成長する。 私たちは生産者6軒のグループで、長年にわたり毎月銀鮭の勉強会を開いてきました。東日本大震災では津波で地域のすべてが流されましたが、幸い2週間後に全員が再会できました。そこで銀鮭養殖の再開と、やる以上は日本一の銀鮭にすること、そして全員で地元の復興を果たすことを誓い合ったんです。 それからは浜のがれきの撤去を続け、地元の鉄工所が流されたため愛媛県宇和島からいけすの鉄枠を運び、漁網も全国からかき集め、みんなでいけすを組み立てました。必死の努力でその年のあるんです」と話す佐藤さん。年によっては雪解け水の影響で海水温が上がらず稚魚の成長が遅れることもあり、苦労は絶えません。銀鮭の出荷が終わる7月末まで、佐藤さんたち生産者は、海の真ん中で自然と格闘する日々が続きます。 通常、宮城では水揚げした銀鮭を生きたまま氷水に詰めて出荷していますが、ユーコープ向けには1匹ずつ急所に刃を入れる「活〆」をしています。人手や技術を必要としますが、このひと手間で血が抜けて身に回らず、生臭さを抑え、鮮度も保てます。 水揚げと活〆は、朝5時の出荷に向けて徹夜で行われます。6月は最盛期で、フル稼働。「一生懸命育てた銀鮭だから、おいしいと喜んでもらいたい!」と生産者の皆さんは意欲に満ちています。11月に、いち早く銀鮭の養殖を再開できたんです。 今は震災前の生産規模まで戻せましたが、地域は人が激減したままです。若い人に戻ってきてもらうために、銀鮭の生産を広げ、地域の復興に貢献したいと思います。味と色の良さには自信があります。ぜひ一度私たちの銀鮭を食べてみてください。力を合わせて、浜の活性化をめざしています特集:塩を使っていないから料理の幅が広がる!“活〆銀鮭”いただきます!おいしさの秘密は、「活〆」かつじめ3June 2016

元のページ 

page 3

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です