2010年2月25日
2月5日、学習会「遺伝子組換えってなあに?」を開催しました。
遺伝子組換え技術の研究者でもある田部井豊氏(※)をお招きし、そもそも遺伝子組換え作物とはどういうものなのか、安全性の検証方法などお話をうかがった後、グループに分かれて質問を出し合いました。(敷島総合文化会館 15人参加)
※農業生物資源研究所・遺伝子組換え研究推進室長。農業生物資源研究所は、日本最大の農業分野の基礎生命科学研究所です。農業技術の発達や、これまでにはない新たな生物産業の創出を目指して研究を行っています。
遺伝子組換え技術の研究者 田部井豊氏
遺伝子組換え技術は 品種改良に使われる技術のひとつ
田部井先生からは、そもそも遺伝子組換え作物とはどういうものなのか、ふつうの品種改良とどこが違うのか、遺伝子組換え作物の安全性はどのように検証されているのかなどを講演していただきました。
遺伝子組換え作物の代表的なものには、「アワノメイガ」という蛾の幼虫がつかないようにしたとうもろこし、除草剤に耐えられる大豆があります。
遺伝子組換え作物の作付け面積は、1996年に世界で170万ヘクタールでしたが、現在では12,500万ヘクタールにまで増加しています。つまりわずか12~3年で、70倍に増えたというわけです。
これは、宣伝だけの効果とは言えないでしょう。遺伝子組換え作物は、農家にとっては労力を節約でき、収穫量が確保できるもの。農家が使ってみてよかったので、繰り返し使っている農家が多いと考えられます。
現在日本で栽培している遺伝子組換え作物はありませんが、遺伝子組換え穀物の輸入量は年間3200万トン前後、日本で流通している全穀物中の50%強を占めます。
食べたときの安全性評価については、科学的に行われています。 毒性が疑われる成分はないかということはもちろん、アレルゲン(アレルギーの原因)になる可能性も科学的に評価されており、従来の作物と同等の安全性があると考えてよいといえます。 「従来の作物と同等」というのは、遺伝子組換え作物であれ、従来の作物であれ、どんな食品でも体質によりアレルゲンとなる可能性があるため、「絶対にアレルゲンとはならない」ということはいえない、ということです。
パネルディスカッションで意見交換
講演の後、4グループに分かれて質問を出し合い、それをまとめたものに対して先生から回答をいただきました。
~出された質問と回答(一部)~
Q.遺伝子組換え作物を長年栽培し続けることによって、突然変異種が生まれることはないのか。
A. どんな作物であれ、突然変異を起こすことはあります。しかし遺伝子組換え作物が特別に変異を起こしやすいということはありません。
Q.くだものの遺伝子組換えでの品種改良状況は?
A.くだものの遺伝子組換え品種も研究されていますが、実用化されるのはまだ遠い未来だと思います。
Q.遺伝子組換え作物の種は高いのですか。農家に負担にならないのでしょうか。
A.遺伝子組換え品種の種は一般的に、普通の種より高いです。ただ、それを買うことにより除草剤が必要なくなったり、収穫量が上がることは確かなので、農家はいろんな条件を天秤にかけて購入する種を選んでいるといえます。